食品ロス論ーその1
その2食品ロスの定義
その3食品ロスの問題
その4環境問題を第一義とすべきでない理由の続きです。
本日は食料安全保障と食品ロスについて書きたいと思います。
前回のエントリで取り上げた通り日本語検索だと食品ロスとの結びつきは特に強くないように思われます。ですが、食品ロスの定義で取り上げたFAOは食料安全保障の観点から食品ロスを問題視しています。
FAOのミッションは以下の通りです。
”Our goal is to achieve food security for all and make sure that people have regular access to enough high-quality food to lead active, healthy lives.”
「私たちの目標は全ての人の食料安全保障を達成し、人々が活動的で健康的な生活を送るのに十分な高品質の食料に定期的にアクセスできるようにすること」であります。
FAOの立場としては、「飢餓と栄養不足を無くしたいが、今後の世界人口の増加に対して食料生産は追い付かない懸念がある。にも関わらず、食料の配分は不公平だし、本来食べられる食料が捨てられているサプライチェーンのルールや消費者の意識は変革すべき」という感じです。(こちらなどの資料もご覧ください)
日本では食料安全保障は話題にこそなりさえしますが、その危機感というのはまだ実態として感じにくいことはあるかと思います。
また、前回のエントリで環境を取り上げた際、結びに「食品ロス問題の最優先事項を環境問題として定義してしまうと、その他の問題解決には至らなくなってしまいます」と書きました。その理由を書きます。
食品による環境問題の解決を目指した場合、理想的な最適解は次のようになります。
「供給量=需要量」
需要以上の供給があり、あぶれたものが廃棄されるためです。需要に対して供給がぴったり行えれば食品ロスはゼロとなり、環境への悪影響はありません。
対して食料安全保障問題の解決を目指した場合、理想的な最適解は次のようになります。
「供給量≧需要量」
「≧」としましたが、これが成立するケースは平時の食料配分が均等に行われる世界を前提とするものであり、現実的には「供給量>需要量」となります。
食料安全保障には「平時」と「緊急時」の考え方があり、例えば自然災害、異常気象、外交問題、感染症などの「緊急時」を想定した場合、食料の「備蓄」が必要です。
デジタル化の進展などで最先端の高精度な需要予測で食品ロスを削減する取り組みも見られていますが、サプライチェーンの寸断などの「緊急時」にはそうした取り組みが仇になってしまうリスクも想定しなければなりません。
こちらに描いた通り「問題解決」のためには「問題定義」が欠かせません。
そして、「「問題定義」によって目指すゴールは異なること」を改めてご理解頂ければ幸いです。
次回は食品ロスの経済に関する問題について見ていきたいと思います。
環境・食料安全保障と食品ロスに関する単位は「量」でしたが、経済問題においては単位が変わります。どう違いが出てくるでしょうか。

コメントを残す