- 「令和のコメ騒動」(以下、「本件」と記載)なる騒ぎはこの記事を書いている時点ではまだ収束されたとは言い難いものの、政府備蓄米放出が収束に向けた契機になると想定し、本記事は本件について中間的な検証を試みるものである。
- いきなりの結論であるが、本件に関する農林水産省の対応について、筆者は「ほぼ適切」であったと評価する。
- 2での筆者による農林水産省への評価は世間一般、というより各種メディアが報じる「見通しが甘い」という評価とは異なるので、その理由についてまずは記述したい。
- 「見通しが甘い」という評価は、「新米が出れば価格は落ち着く」と見込んだ農林水産省の見通しに対して、想定以上に流通量が出回らず店頭小売価格が高値となった点が主たるものであると考えられる。
- 4に加えて、減反政策をはじめとした過去農政に関しても同様に「見通しが甘い」とする向きもあるようだが、話が広がりすぎるので4を中心に議論を展開する。
- 不幸にも4は事実である。それでは、何故筆者は農林水産省について「見通しが甘い」という評価とならないのか。それには、1)農林水産省自体が店頭小売価格(または相場)に対して介入が出来ない、2)想定以上に流通量が出回らなかった点は生産の問題でなく流通の問題であったこと、という2点である。
- 6-1)についてコメの価格は「需給の状況に応じて民間で決めるもの」です。本来であれば政府・農林水産省は介入すべきものではありません。そこに対して「見通し」を立てることすら本来「余計なお世話」のはずである。
- 6-2)想定以上に流通しない問題も、それ自体が違法行為でなければ自由市場として認められるものですから、農林水産省の問題とは言えません。農林水産省の前に米穀流通がこうした事態に取り組むべきであった。
- 8については、弊ホームページ2024年9月6日の「米穀流通は転売対策に本腰を入れるべき」という記事で触れている。市場自体は基本的に自由であるべきで、何でもかんでも法整備されたり、監督官庁が出しゃばってくるのではなく、業界団体でモラルハザードを防ぐ必要がある、という考えを示したものである。
- 農林水産省としては監督官庁として一定の「見通し」は出すものの、基本的には民間マターで物事が進むものであり、そこに責任を求めることは農林水産省に依存しすぎであると考える。
- であれば政府備蓄米の放出こそ、具体的な「介入」であり認められるべきではないのではないか。
- 政府備蓄米の放出方針が報道されたのは2025年1月24日あたり、この時点で筆者はこの農林水産省の考えに否定的なものであった。理由は7~11によるものである。
- しかし、弊ホームページ2025年1月31日「コメが投機対象となったいま備蓄米放出はやむを得ない気がしてきた」の記事に記した通り、流通の停滞が投機目的によるものであり、もはや米穀流通としてもコントロールが利かない状況とあれば、監督官庁として是正しなければいけない、ということで考えを改めたものである。
- ここまで書いてみて4の「見通しが甘い」の意味には、「政府備蓄米は2024年8月の段階で放出すべきという声があったのに、ここまで遅れたこと」という意味も含まれていたように感じる。
- だが、7~11の理由により14の指摘もやはり不適切である。当時の段階で個人による買い占めとみられる行動(そしてフリマアプリ等での転売行動)は確認できたが、2024年8月時点では新米流通前で流通量そのものが少なかったため、事業者による買い占めは希少であったとみられる。
- ここまで書いて、改めて記載するが農林水産省の対応はやはり「ほぼ適切」であったと感じる。
- 「適切」でなく「ほぼ適切」とした理由は、政府備蓄米による流通沈静化の効果が現時点でどこまでか分からない点、販売先に対する入札条件や販売後のモニタリングが適切に行われるか判断するに至らない為である。
- ただ、報道ベースで見る限り農林水産省もあらゆるケースを想定しているように感じており、そこまで酷い様相には繋がらないとも見ている。故の「ほぼ適切」との評価である。
- 今後、政府備蓄米の放出により事業者による「投機目的」の買い占めは落ち着くと見られ、既に「買い占めた」事業者は必死の損切りを行うであろう「備蓄米放出で損切りに動く業者が出てきている模様」
- ただ政府備蓄米の放出は、こうした流通のモラルハザードを解消する点が主目的であり、コメの価格形成はやはり需給に応じて民間で決定されるものという考えは変わらないのである。
- おそらく、コメの店頭小売価格は春先にかけて若干落ち着くはずである。が、昨年対比等で見れば若干高いかもしれない。それは農林水産省が決めることではないのである。
- ただ、恐らくではあるがいくつかのメディアはコメ価格が下がりきっていない点を以て農林水産省・政府批判を展開するのではないかと推察する。それらの報道は的外れであることを今の段階から指摘しておきたい。
- 以上が本件における農林水産省に対する筆者による評価の根拠である。
- 本件の根源としては「コメ不足」を煽ったメディアとそれによる投機・転売目的の事業者・個人の責任が極めて重いと感じている。
- メディアについては昨今の様々な問題も関連して、もはや個人個人がリテラシーを高めていくしか解決策は無いと感じている。正直、あまり期待していない。
- 投機・転売目的の事業者・個人については、それ自体を特定すること自体が困難である。誠実な事業者にとってもコメがなければ商売にならないし、要求に応じて必死に集荷した方々まで批判の対象にしてしまうことは、あってはならないことである。無差別的な批判・中傷は何の意味ももたらさない。
- しかし、出来ることはある。それは正規の流通ルート以外でコメを購入しないことである。これは消費者でも事業者でも出来ることである。むしろ、そうした姿勢を示すことで、本件のような事態の再発を防ぐ効果はあるはずだ。
- 米穀流通はなにが正規の流通ルートなのかを明確にすることで投機目的・転売品でないということを証明する手立てを構築すべきである。「ヤミ米は許さない」確固たる姿勢を示すべきだ。
- 以上、暫定的ではあるが現時点での検証であった。
文字に起こすうえで端折った箇所も多いため、適宜補足・追記できればと考えている。

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