鈴木宣弘『危機認識の欠如した「食糧法」改定』が酷すぎて (5)自分勝手な政策主張が生産者を苦しめる

元記事はこちら
(1)増産すればいいの幻想
(2)流通実態把握なんか無駄?
(3)「国防」を盾にした感情的ポピュリズム
(4)なぜ「国防」でコメ増産を主張するのかの続編です。こちらで最終回となります。

過去4回に亘って鈴木氏の主張の酷さを解説してきました。結局のところ氏はなぜこういった主張をしているのか、最後の一文にその記載があります。

”そして、農家が自由に増産できるようにするには、価格が市場で決まっても、コスト割れ分はちゃんと農家に払う政策をとればよい。政府が高く買い上げて安く売る方法もありますが、市場価格が安くても農家の所得を保障する直接支払いを後から支給すれば、消費者は安く買え、農家は所得を確保でき、増産できて、自給率も上げて、市場も広げられます。そういう方向へ持っていくべきです。”
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】危機認識の欠如した「食糧法」改定 |
JAcom 農業協同組合新聞(2026年4月24日)から引用)

鈴木氏は「農家が自由に増産できるようにする」事を求めており、コメ生産者の味方なのです。そんな鈴木氏の記事を「酷い」と断じる私のことをコメ生産者や関係者は「敵」と見做すのかもしれません。

しかし、私は「農家が自由に増産できるようにする」目的自体は否定しません。
私は「農家が自由に増産できるようにする」目的に向けて鈴木氏のアプローチを「酷い」と言っているのです。

既に過去記事で解説している通り鈴木氏は、
・経済原則を無視し、
・データを軽視し、
・感情的なポピュリズムによって扇動する
ことによって「農家が自由に増産できるようにする」政策主張を行っています。

こうした感情的かつ近視眼的な政策主張は、業界内の周囲を巻き込むには効果的ですが、外の世界にいるその他大勢(税金を負担する国民や消費者)から見れば「自分勝手」以外の何物でもありません。そして「自分勝手」な主張は多くの人々にとって受け入れられるものではありません。余計な対立を生み、コメ離れが加速することだってあるかもしれません。

そして、この「自分勝手」な主張によって、最も被害を受けているのは「農家が自由に増産できるようにする」ことを望んでいるコメ生産者に他なりません。
「農家が自由に増産できるようにする」ことを望むのであれば、事実に基づき、冷静で、大局的な視点を含めた建設的な提案が何よりも求められるのです。

しかし、本記事における鈴木氏の主張は本来求められるアプローチからは、かけ離れたものです。だから本記事は「酷い」のです。

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