前回の記事で挙げた通り、さいたま市食肉中央卸売市場の廃止方針決定について参議院農林水産委員会で取り上げられ、日本共産党・岩渕友議員より卸売市場法の検証と見直しが求められました。
食肉中央卸売市場を廃止/さいたま市発表 岩渕氏「撤回させよ」/参院農水委で政府に迫る
しんぶん赤旗(2025年12月19日)
“こうした重要な公的施設を、なぜ一方的に廃止できるのか―。岩渕氏は、第2次安倍政権のもとで強行された改定卸売市場法にあると告発。18年の改定では、卸売市場の整備計画に関する規定を削除。全国に市場を配置する国の責任を放棄し、市場の廃止に必要だった農水相の認可を廃止し通知と届け出だけで可能としました。岩渕氏は「法改定がなければ国の整備計画に基づき農水相が廃止を拒否できた」と指摘しました。
(中略)
岩渕氏は、市が廃止の理由に法改定を挙げていることにふれ、改定のさい日本共産党の田村貴昭衆院議員が「地方市場の外部化や閉鎖が進む」と指摘した通りだと強調。「全国にも波及しかねない。安倍政権下の新自由主義と規制緩和政策のゆがみ、弊害が噴出している。法改定が現場の実態と激しく摩擦を起こしている」と述べ、改定の検証と見直しを強く求めました。”
中央卸売市場廃止に関する旧・現行法条文
2018年の卸売市場法改正により中央卸売市場の廃止(又は休止)の条文は以下のように変わりました。
(旧法:第14条)
開設者は、中央卸売市場を廃止しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
農林水産大臣は、中央卸売市場の廃止によつて一般消費者及び関係事業者の利益が害されるおそれがないと認めるときでなければ、前項の認可をしてはならない。
(現行法:第7条)
中央卸売市場の開設者は、その中央卸売市場の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、その旨を、取引参加者に通知するとともに、農林水産大臣に届け出なければならない。
つまり廃止するにも農林水産省に認められなければいけなかったことが、届け出のみに改正されています。さいたま市もこの点を廃止方針決定の論拠として挙げているので、岩渕議員はこの改正により廃止が進む点を懸念し見直しを求めています。
問題は「法律の運用」にある
本件に対して、私は「法律」の問題ではなくさいたま市側による「法律の運用」が問題であったと感じています。
卸売市場法第1条「目的」は以下の通りです。
”生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もって国民生活の安定に資することを目的とする”
(出所:卸売市場法第1条)
そもそも2018年卸売市場法改正が目指したものは、国が細かくルールを定めることによる実態との乖離から、市場がそれぞれの特性に合わせた取引ルールを策定すること等により活性化を求めたものです。
”食品流通においては、加工食品や外食の需要が拡大するとともに、通信販売、産地直売等の流通の多様化が進んでいます。こうした状況の変化に対応して、生産者の所得の向上と消費者ニーズへ的確な対応を図るため、各卸売市場の実態に応じて創意工夫を生かした取組を促進するとともに、卸売市場を含めた食品流通の合理化と、その取引の適正化を図ることが必要です。
このため、平成30年6月に卸売市場法及び食品流通構造改善促進法を改正しました。”
(出所:農林水産省「卸売市場情報」)
そして、取引ルールの策定にあたっては「取引参加者の意見を聴く」事が求められています。
”法第四条第五項第五号の表の下欄に掲げる事項以外の遵守事項が定められている場合にあっては、次に掲げる書類 イ 当該遵守事項を定めるに当たって法第四条第五項第六号ロの規定により取引参加者の意見を聴いたことを証する書類”
(出所:卸売市場法施行規則第5条)
つまり卸売市場法は流通の適正化・円滑化・安定化を求めており、改正法は卸売市場「活性化」の為であり、活性化が目的であっても「取引参加者(卸売市場関係者)の意向が反映されること」が求められているのです。
本件におけるさいたま市の「廃止の方針を決定した上で、卸売市場関係者へ丁寧に説明していく」というプロセスは卸売市場法の目的から外れている点及び改正法の意図を汲んでいない点により生じている問題と言えるでしょう。
その背景を推察すると「1.改正法の意図を理解していなかった」という単純なものと「2.改正法の意図は理解しているが、その意図を無視してでも廃止を決定づけたかった」という複雑なものがあるように思えます。
改めて、私は本件に関して現行法に大きな不備は無いと感じています。なんでもかんでも法律で縛らなくていいと思うので。
こちらの記事でも書きましたが、「1.財政状況で卸売市場を維持できなくなってしまったことは仕方ない。」です。無い袖は振れませんし、私はさいたま市民では無いので「赤字でも食肉インフラのために存続すべきだ」と主張する権利もありません。
ただ、一方的に「止めます」ってなったらそりゃ揉めるよね、と。何でそういうプロセスを取ってしまったのか、或いは取らざるを得なかったのか。という問題でしかなかったのだと考えます。

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