卸売市場の食品衛生ーその3 PRPの基礎

こちらのエントリの継続となります。
卸売市場の食品衛生
その2 HACCPの基礎

PRPはPre-Requisite Programsの頭文字をとったものです。PPやPRP(s)などと略されることもあります。日本語では「前提条件プログラム」「一般的衛生管理プログラム」と訳されることが多いです。個人的には前者の方がしっくりきます。

PRPはHACCPほど周知されてないと思いますが、実は超重要です。これがないとHACCPは機能しません。というのも、HACCPで行うハザード分析は一定の前提条件のもと行われるもので、それは例えば、

・当該製品を製造する設備は清潔な状況に保たれている
・製造にあたり業務に従事する人員は清潔な状況に保たれている
・施設内部の配置や動線は新たな危害の混入が起こらないよう設定されている
等の様なものです。

ただ、これらはそれほど簡単ではないですし、これらの前提が崩れた際にHACCPでは想定外の危害が生じることとなります。というわけで、そうした前提となる周辺環境の衛生管理を維持しましょうね、というものがPRPとなります。

PRPは元々、ISO22000:2005(ISO22000設定時)にも運用段階として盛り込まれていましたが、後に注目を集めることとなります。

(以下は当時の記憶を基にした内容ですので、間違いがあれば指摘ください。)
契機としては、主にヨーロッパの流通・小売企業で構成されるGFSI(Global Food Safety Initiative)となります。ヨーロッパの小売チェーンではプライベートブランドの比率が日本より高く、小売側の安全監視が厳しくなっていました。ただ、小売側は製造管理についてメーカーほど知識が豊富でなく、メーカー側は複数の小売側から異なる衛生基準を要求され、手順が煩雑化していました。

そうした事態に対して、GFSI加盟企業で共通の食品安全認証を採択しようという動きが起き、数々の国際規格が採択されましたが、ISO22000:2005は「PRPの内容が具体的でない」という理由で採択しませんでした。そこでISO側はPRPに特化したマネジメントプログラムであるISO22002を策定し、ISO22000とISO22002に独自要求事項を加えたFSSC22000がGFSIに採択されることとなりました。

ISO22002の主な構成は下記のようになっています。
・建物の構造や配置
・施設及び作業区域の配置
・ユーティリティー空気、水、エネルギー
・廃棄物処理
・装置の適切性、清掃・洗浄及び保守
・購入材料の管理(マネジメント)
・交差汚染の予防手段
・清掃・洗浄および殺菌・消毒
・有害生物[そ(鼠)族、昆虫など]の防除
・要員の衛生及び従業員のための施設
・手直し
・製品のリコール手順
・倉庫保管
・製品情報及び消費者の認識
・食品防御、バイオビジランス及びバイオテロリズム

ISO22000が10章立てなのに対し、ISO22002は18章立てと細かく記載されています。
例えば、「要員の衛生及び従業員のための施設」では「ウエストより上にポケットをつけない(屈んだ時に埃や異物の混入を防ぐため)」とか記載されています。(食品工場の見学に行くと高確率で「胸ポケットが付いていない」説明をされますよね。)

HACCPが製造段階におけるプロセス管理であることを踏まえれば、卸売市場の衛生管理に必要なのはよっぽどPRPだと考えています。再整備計画等の際はPRPの要求を参考にされてみては如何でしょうか。
こちらの本なんか分かり易いです。)

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