コメの個人間商取引における表示と安全に関する懸念

以前の記事でコメがフリマアプリに転売されている現状から流通として対策をとるべきと指摘しました。ただ、この問題は流通の観点だけではなく、表示や安全上も懸念がありそうだとして、再度問題提起をしたいと思います。

基本的な事項として、米穀の出荷又は販売について年間20精米トン以上を行う場合は、各地の農政局・農政事務所へ届出書の提出が必要です。また、それ以外にも食品表示法や米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(米トレーサビリティ法)、食糧法、食品衛生法など関連法規を遵守しなければいけません。

(出所:農林水産省)

しかし、以前の記事でも取り上げたように「出品者で開封され小分け販売している例」(⇒こちらについて、「特定出品者を晒す」行為となってしまう為、当HP内で出所を明示することは控えます。ただ、当該ページのスクリーンショットやweb魚拓は取っております。)等があり、以下についての懸念を持ちました。

  • 適切な管理状況だけでなく、小分けによる危害混入の恐れが排除できない
  • 小分けするなど袋を入れ替える出品が認められれば、産地情報や非食用米を偽った販売が出来てしまう

1は、本来事業者であれば徹底されているはずの保管環境が、消費者による出品では適切でないケースが在り得るだけでなく、既存包装の開封により(意図的か否かを問わず)微生物菌や異物の混入可能性が考えられるものです。

2は、産地偽装による価格のつり上げや米トレーサビリティ法制定の契機でもあった事故米などを食用と偽って販売される可能性が否定できなくなるものです。

こうした懸念について、農林水産省はどう捉えているか問い合わせてみました。

以下、大まかなやり取りを掲載します。

石田(以下、石):フリマアプリの様な所謂、個人間商取引は米トレーサビリティでの対象範囲である「対象品目となる米・米加工品の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行うすべての方(生産者を含む)」での対象範囲か否か。

農水省担当者(以下、農):米トレーサビリティ法では、米穀事業者間での取引記録の作成・保存と産地情報を取引先や一般消費者に伝達することを義務付けています。出品者が生産者や事業者の場合もあるため、一概に個人間取引が対象か否かは判断できかねます。生産者が販売する際には産地伝達を、生産者以外の場合は産地伝達に加えて、米穀を仕入れた記録の作成・保存が必要になります。
米トレーサビリティ法の概要

石:現在既に「違法」状態であるとは思わないが、1・2の様な懸念についてどう思われるか。

農:米トレーサビリティ法の目的は、安全性を欠くものの流通を防止し、表示の適正化を図ることです。米穀事業者が米を流通させる際には前述の義務を守っていただく必要があります。また、容器包装に入れられた米を販売する際には消費者庁が所管する食品表示基準に従って表示する必要があるほか、衛生面については保健所、計量については各県の計量部署に確認していただきたいと思います。

石:米トレーサビリティ法制定時(2009年)は個人間商取引の市場規模は大きくなく、こうした事態を想定されてないことは仕方がないと感じるが、米穀品の円滑な流通はもとより、表示や安全性など消費者が安全に購入できる制度を見直すべき時期とも感じる。

農:事例の共有を頂きありがとうございます。適正な流通を確保するための今後の参考として参ります。

…という感じでした。

一応、断っておくと個人間商取引はもっと普及してほしいと感じますし、「遊休資産を再循環させることによる資源の有効活用や経済の活性化」のコンセプトは共感しかありません。

ただ、流通・表示・安全性において社会の混乱を招いたり、信用を損なう事態は避けなければいけませんので、事業者・消費者・社会全体にとって安心できるプラットフォームが構築できると良いですね。


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