食料システム法と地方自治政策の矛盾(価値財本ちょい出し)

『「価値財」としての公設卸売市場論~公共政策から見た卸売市場~』の一部を紹介いたします。
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筆者が独立する以前に、とある消費地卸売市場の自治体担当者から次のような問いかけを受けたことがある。「ウチの卸売市場に入荷してくる商品は殆どが他市町村で生産されたもの。他市町村にとってはウチの卸売市場が無くなったら困るのだから、卸売市場の運営に対してサポートしてくれてもいいのではないか。」当時の筆者にはその発想が無く非常に新鮮なものに感じられた。同時に、卸売市場を運営・開設する自治体の想いとして率直なものであるとも認識したものである。しかし、この考えは食料システム法の下では非常に重要な考え方になり得るものである。

食料システム法(食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律)は2026年(令和8年)4月に施行された法律であり、合理的な価格形成と食品産業の持続的な発展を目指すものである。同法はこれら目的の達成のために、生産者・食品関連産業・消費者が個別に努力をするだけでなく、一体となって取り組むこと、即ち食料システムとしての概念を重要な位置付けとしている。それは、現在の地方自治政策による生産者支援・卸売市場政策と矛盾した姿であることを示している。

(続きは本書で)

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