農林水産省「食品流通をめぐる情勢」を読むーその8 卸売市場への要求

「食品流通をめぐる情勢を読む」シリーズもそろそろ終盤となってきました。第6章は「卸売市場について」という項目ですが、p.88以降に「卸売市場への要求」というスライドが続きます。

こうした要求が出されている中で恐縮ですが、必要なことは役割の再定義と機能強化であると考えます。特に、1.流通の大型化と2.パレチゼーションは全ての卸売市場で対応する必要はないと考えます。確かに生産規模の集約によって出荷者・団体から卸売市場へ従前よりも纏まった荷を送りたいというニーズはあるでしょうが、すべての市場に当てはまるものではなく、拠点市場に限定されるものと考えられます。出荷者・団体は複数の卸売市場への配送が困難になるからこそ拠点市場へ一括納入し、拠点市場から地域市場へ転送してほしいというニーズがあります。拠点市場はそうしたニーズに対応すべく、受入れ機能として大型化対応やパレチゼーションが求められますが、それだけでなく転送のための施設設計やオペレーションも刷新する必要があります。物流倉庫におけるDC(Distribution Center:在庫型物流センター)よりもTC(Transfer Center:通貨型物流センター)に近いイメージですね。

3.場内作業の省力化・デジタル活用、4.高齢化・人手不足への対応は、こうした役割が再定義された上で、「個々の業務をどうすればスムーズに運用することができるか」、「どう付加価値を向上するか」を検討すべきです。これを行わず、当面の業務効率を改善するためのデジタル導入は、卸売市場の役割変革に対して足枷となりかねません(大概、減価償却の期間分待つことが多くなるためです。)。

こうした役割の再定義は一市場単位で行えるものではなく、せめて都道府県単位で卸売市場流通をどう再設計していくかを協議する必要があるのですが、そうした体制が組めている例はほぼ無いのではないでしょうか。

本資料の「要求」は大枠で間違っているとは思いませんが、ちょっと行間が不足していると感じます。あらゆる卸売市場の再整備計画で過剰な投資(将来の負担)が生じないよう願います。

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